刑事事件

家族・友人・知人が逮捕されました。その後はどのような手続が行われるのでしょうか?

警察に逮捕された場合、(最大)48時間身柄が拘束され、警察署等に留置されます。
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検察官の下へ連行され、(最大)24時間以内に勾留されるかどうかが裁判官によって決定されます。
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勾留が決定されると、最大20日間警察署等に留置されます。

  • 成人の場合はその間に起訴・不起訴(裁判をするか否か)が決定されます。
    起訴されない場合は釈放されますが、その場合でも、釈放後すぐに再逮捕となる場合があります。
    起訴された場合には、通常、勾留が続きます。
  • 未成年の場合は、原則として家庭裁判所に身柄が送られ、少年審判という手続をすることになります。
    多くの場合、鑑別所に入所することになります(詳しくはこちらへ)。
逮捕・勾留された人に面会はできますか?

逮捕されてから勾留が決定されるまでの間は、たとえ家族の方であっても、弁護士以外の者が面会することはできません。
勾留決定後は原則としてできますが、事案によってはできないこともありますし、また、面会時間も限られますし、面会の際には警察の担当者が面会に立会いをすることになります。
なお、電話での連絡は一切できません。さらに、共犯者がいる事件など、場合によっては弁護士以外の面会が禁止される場合があります(いわゆる接見禁止)。

一方、弁護士の場合には、基本的にはいつでも面会ができますし、面会の際に警察官の立会いはありません。

逮捕・勾留されている間に何かできることはありますか?

1番目の質問のとおり、この間に起訴されるかどうかが決まります(なお、釈放されて後から起訴という場合もあります。)。
暴行・傷害や窃盗・強盗、性犯罪など被害者の方がいる場合には、被害者の方に被害弁償を行い、また、真摯な謝罪をすることなどで、被害者の方の処罰を求める気持ちが和らぐことがあります。
これを示談書などの形にして表してもらい、捜査機関に提出することで、事案によっては不起訴になる可能性が高まります。

また、強制わいせつ罪など、特定の犯罪は起訴するためには被害者の告訴が必ずなければならない犯罪もあります(親告罪)。
この親告罪の場合には、被害者の方が告訴を取り下げれば起訴はされず、また、一旦起訴された後には告訴を取り下げることはできないので、逮捕・勾留されている段階で、被害者の方に真摯な謝罪を行って、告訴を取り下げていただくための活動が非常に重要になります。

以上は成人の場合ですが、未成年の場合であっても、早期に被害者の方への被害弁償や謝罪を行っていくことが、最終的な処分が軽くなる可能性を高めます。

逮捕・勾留されている間に弁護士に依頼すると何をしてくれるのでしょうか?

2番目の質問のとおり、弁護士はいつでも本人と面会が出来ますので、受任後直ちに警察署に赴いて面会することになります。当然、証拠隠滅につながるような伝言は出来ませんが、そのような違法な事項でなければ、どのような伝言でも行うことが可能です。
もちろん、ご家族やご友人からの伝言に限らず、弁護人として、事件の概要や、勾留されている方の言い分を伺ったり、手続の流れを説明して取り調べを受ける際の注意事項などを伝えたりします。
特に、身に覚えがない罪で拘束されている場合(否認事件の場合)には、頻繁に面会し、厳しい取り調べに対する注意事項や精神的なバックアップに努めると共に、有利な証拠の探索活動などを行います。
また、弁護人がつくことで、勤務先の職場との連絡・調整が円滑になされることが期待でき、事件後の職場への円滑な復帰が可能となり、この点も弁護人の重要な任務となります(社会復帰の支援)。

3番目の質問で記載した示談交渉についても、基本的には、弁護士が行います(ご家族の方に謝罪に同行してもらうなど、ご協力していただく場合もあります。)。
告訴取消書や示談書を作成することに被害者が応じてくれた場合、それらを捜査機関に提出し、不起訴処分とするよう上申するなどします。

具体例1
女性の胸や臀部を無理やり触ったとして強制わいせつ罪で逮捕・勾留されたケースで、被害者の方と交渉し、慰謝料を支払ったうえで告訴取消書を作成してもらい、不起訴処分になった
また、身柄の解放という点からは、逮捕段階においては、勾留する必要性がないことを検察官や裁判官に説明し、検察官には勾留の請求をしないよう、裁判官には勾留を認めないように働きかけます。

勾留が決定されてしまった場合でも、勾留の必要がないことを主張し、勾留の取消や、勾留の延長をしないことを求めていきます(正確には、勾留決定に対する準抗告、勾留延長決定に対する準抗告、勾留取消の請求。)。
このように、弁護人としては、勾留の取消しなどを請求するなどして、早期の釈放に向けた活動をします。もっとも、これらが認められる場合は多くはありません。
また、親族の葬儀に出席する必要があるなど、一定の場合には一時的に釈放が認められる制度があり、そのために必要な手続も行います。

具体例2
勾留中に親族が亡くなったケースで、裁判所に勾留の執行停止を請求し、 通夜・告別式の前後を合わせて4日間の釈放が認められた

逮捕はされていないが、被疑者として警察の取調べを受けました。
どのような流れになるのでしょうか?

この場合、捜査機関は、このまま逮捕をせずに捜査を続ける場合(在宅事件)と、その後に逮捕・勾留する場合があります。
逮捕・勾留された場合については、1〜4番目の質問のとおりです。

在宅事件の場合についても、身柄が拘束されていないということが逮捕・勾留された場合と異なるだけで、罪を犯したことが間違いのないときには、被害者の方がいる場合には被害者の方との示談交渉をすることや、 反省していることを警察や検察に示すことなどが重要になります。在宅事件の場合であっても、弁護士が受任した場合には、被害者の方との示談交渉をしたり、具体的なアドバイスをしたりします。

国選弁護人という制度は起訴される前にはないのでしょうか?

起訴される前でも、勾留されている場合であれば、疑われている犯罪の刑の重さが一定以上の場合に、経済的な問題などで弁護人を選任できないときは、 裁判官に対して国選弁護人の選任を請求することができます。これについては難しい手続は必要なく、 留置施設の係の人に国選弁護人を選任してほしいと伝えれば、きちんと手続をしてくれます。

なお、国選弁護人は無料だと思われている方も多いかもしれませんが、資力があると考えられる場合などには、 被疑者・被告人ともに国選弁護人費用の支払を命じられることもあります。
もっとも、起訴されずに被疑者段階で終了した場合には、検察官が請求しなければなりませんが、この請求がなされることはほとんどないと思われます。

国選弁護人をお願いするのではなく、弁護士(私選弁護人)に依頼した方がよいのでしょうか?

弁護士には、刑事被告人・被疑者の人権を擁護するという根本的な使命がありますから、国選弁護人であっても、 通常は、手を抜いたりすることはありません。しかし、国選弁護人は、名簿記載順に自動的に配点されることから、 必ずしも相性の合う弁護士が割り当てられるとは限りません。また、国選弁護人は、通常1名しか選任されませんので、事件の関係者が多数いる場合など、
事案によっては、多様な活動が期待される弁護人としての職務を十分に果たせない場合もあります。

この点、当事務所では、必ず複数弁護士で弁護人を引き受けることで(ただし費用は1名分)、 本人(被疑者・被告人)の人権を最大限擁護することが可能であるとともに、被害者の方や職場に対する対応、
さらにはご家族のケアまでも十分に可能となっています。

起訴された後はどのような手続が行われるのでしょうか?

起訴された場合には、刑事裁判を受けることになります。
起訴された後、概ね1か月~2か月の間に第1回目の期日(裁判所の法廷で行われる手続)が行われます(裁判員裁判等の特殊な場合は除きます。)。 

罪を認めている場合には、多くの場合、1回の期日で検察官から犯罪を証明するための証拠が全て提出され、弁護人からは刑を軽くするための証拠を全て提出し、 それぞれが意見を述べた上で結審(判決以外を全て終えるということです。)されます。第1回期日から概ね1~2週間後に判決期日が指定され、判決期日において裁判所が判決を下します。

下された判決に対して不服があるときは、控訴をすることで高等裁判所の判断を受けることができ、 控訴審においてなされた判決にも不服がある場合には上告をすることで最高裁判所の判断を受けることができます。

起訴された後は勾留が続くのでしょうか?

逮捕・勾留を経て起訴された場合、ほとんどの場合に起訴された後も勾留が続きます。
もっとも、起訴された後は、「保釈」という制度があり、これが認められると保釈保証金を裁判所に納めることで、釈放されます。
この保釈保証金は、逃亡して裁判を受けないことがないようにするためのものなので、 きちんと期日に出頭して判決を受けた場合には、全額返還されます。

刑罰にはどのような種類があるのでしょうか?

刑罰には、主として懲役刑、罰金刑の2種類があります(その他、死刑・禁固・拘留・科料があります。)。
懲役刑の場合には、直ちに刑務所に服役する場合(実刑の場合)と執行猶予がつく場合とがあります。
執行猶予がついた場合には、大まかに説明しますと、一定の期間、犯罪を行わないなどの特定の約束事を守ることで、刑務所に服役しなくてもよくなります。

例えば、「懲役2年執行猶予3年」という判決の場合には、本来は2年間服役しなければいけないのですが、 3年間犯罪を行わないなど特定の約束事を守った場合には、3年が経過した時点で、服役しなくてもよくなります。

弁護士に依頼すると、起訴された後はどのような活動をしてくれるのでしょうか?

身柄の釈放へ向けた活動
本人やご家族等の意向を踏まえ、保釈を望む場合には、保釈が認められるよう活動いたします。
保釈が認められるためには、保釈後の監督をして頂く方の協力が必須ですので、ご家族等にご協力いただくことになります。

有利な判決を得るための活動
本人が罪を認めている場合で、懲役刑が見込まれるときには執行猶予がついた判決を得ることが大きな目標となります。
執行猶予が法律上つけられない、あるいは過去のケースに照らして執行猶予が付くことが考え難い場合には、出来るだけ懲役の年数を短くすることが目標となります。
罰金刑が見込まれる場合には、主に罰金額を低額にすることを目標とすることになります。

そのために、被害者の方がいる場合には、被害弁償や謝罪等の示談交渉を行い、
被害者の方が厳しい処罰を求めないお気持ちになられるように活動をします。

また、執行猶予がついた場合に、本人がどのような生活をするのか、同じような犯罪を繰り返さない環境があるのかというのは、 執行猶予をつけるかどうかを決めるにあたっては重要な要素になります。
本人の更生のため、二度と犯罪を行わせないために、ご家族で支援する体制が整っている、仕事先があるなどの事情を、裁判官に対して説明する必要があり、ご家族の方などに、裁判の期日において、いわゆる情状証人として証言をしてもらうことが必要になります。
弁護士に依頼した場合には、本人の更生のためにどのような環境が望ましいのかを共に考え、環境を整備し、また、裁判の期日の前に打ち合わせを行ったうえで、証言に臨んでいただきます。

もちろん、本人が十分な反省をしていなければ、環境だけを整えても意味は乏しいので、本人との面会を繰り返して、様々な話をする中で、 自分を見つめなおしてもらい、場合によっては反省文を書いて裁判所に提出するなどしたうえで、裁判の期日における尋問に臨みます。

法廷ではどうしても緊張し、普段の面会のときに話しているようには話せないという方も多いので、弁護人としては、質問を工夫するなどして、 普段どおりに本人が考えたこと、率直な気持ちなどを出来るだけ裁判官に伝えられるようサポートします。
こうして下された判決について、執行猶予を望んだが実刑であったとか、刑期が長すぎるなどの不服がある場合には、控訴の手続も行います。

未成年の場合、最大20日間の勾留の後はどのような手続になるのでしょうか。

被疑者が未成年の場合(性別に関係なく「少年」と呼びます。)、勾留期間が満了すると、家庭裁判所に身柄が送られ、 調査期間を経た後に家庭裁判所の審判を受けることになりますが、事案が軽微である場合など審判をする必要がない場合には審判不開始ということで、審判を受けない場合もあります。
また、一定の重大な犯罪を行ったとされる少年は、成人と同じ刑事裁判を受けることになる場合もあります(いわゆる「逆送」)。

逮捕・勾留を経たケースでは、多くの場合、審判の前に少年の性格や資質、更生の可能性を調べるなどの目的で、 少年を少年鑑別所に入所させる観護措置がとられます。この場合には、入所から概ね3~4週間程度で審判が開かれることが多いです。
なお、逮捕後、勾留を経ずに家庭裁判所に送られる場合もあります。
鑑別所に入所させられなかった場合には、自宅で生活しながら審判までの期間を過ごすことになります。

勾留されていない少年は審判を受けることはないのでしょうか。

勾留されていたかどうかに関わらず、犯罪を行った少年など、所定の事由に当てはまる場合には、審判を受けることもあります。
また、勾留を経ていなくても、少年鑑別所に入所させられることもありますが、逮捕・勾留を経た場合と比べると非常に少ないと思われます。

審判とはどういう手続なのでしょうか。

成人の裁判は、起訴された被告人が罪を犯したかどうか(有罪か無罪か)を判断し、有罪の場合には被告人に刑罰を科すために行われます。
これに対して、少年審判は、少年が罪を犯したかどうかを判断し、罪を犯した場合には、その少年を更生させるためにはどのような処遇をするのが望ましいのかという観点で行われる手続です。

審判までの間には、少年鑑別所に入所するか否かに関わらず、家庭裁判所の調査官が少年自身の資質や、家庭環境、交友関係などを調査します。
また、弁護士を付添人(成人の弁護人と同じような立場です。)として選任した場合には、被害者との示談交渉や、少年の更生のための環境調整などを行います。
この過程では、付添人はできるだけ軽い処分を目指して行動をするということはあるものの、調査官と付添人が意見交換をしたり、審判の前には付添人と裁判官が意見を交換したりするなど、手続に関わる人が少年の更生という共通の目的を持って進んでいきます。

審判の期日には、裁判官・少年・少年の保護者・調査官・付添人が出席し(成人の裁判とは異なり、一般人の傍聴はできません。)、基本的に裁判官が少年に質問し、少年がそれに答えるという形で進んでいきます。
また、付添人や調査官からも少年に質問することがあります。裁判官は、事前に提出された調査官や鑑別所職員の意見、付添人の意見を参考に、審判当日の少年の様子も踏まえて、少年の処分を決定します。
決定された処分に対して不服がある場合には、成人の裁判における控訴・上告と同じように、抗告・再抗告という制度があり、それぞれ高等裁判所、最高裁判所の判断を受けることができます。

少年の処分にはどのような種類があるのでしょうか。

少年の処分は、大きく、少年院送致・児童自立支援施設または児童養護施設送致・保護観察・不処分の4つに分けられます。

  • ①少年院送致は、一定期間、少年を少年院に入院させることにより、少年の更生を図るもので、重い処分といえます。
  • ②児童自立支援施設または児童養護施設送致への送致は、少年の更生のためにはこれらの施設で少年を生活させるのが適切だと考えられる場合になされる処分で、主に家庭環境が劣悪であり少年を家族の下で生活させるのが適切でない場合や、保護者がいない場合などに下されます。
  • ③保護観察は、少年が社会生活の中で更生できると考えられる場合になされるもので、少年を自宅等の生活の本拠に帰し、地域の保護司の指導を受けさせながら少年の更生を図るものです。
  • ④不処分は、何らの処分もなされないもので、少年の更生のために、上記①から③のいずれの措置も必要ないと判断された場合になされるものです。

また、中間的なものとして、少年が試験観察・補導委託に付される場合があります。
主に、少年を少年院に送致するべきか、保護観察とすべきかの判断が難しい場合に、少年を自宅で一定期間生活させ(在宅の試験観察)、または、民間の施設で生活させ(補導委託)、その間の様子を踏まえて最終的な処分が下されます。

付添人は必ずいなければならないのでしょうか。

成人の裁判における弁護人とは異なり、少年審判における付添人は必須のものではありませんので、必ずしも弁護士に付添人を依頼する必要はありません。
もっとも、付添人がいる場合の方が被害者の方との示談交渉は円滑に進む場合が多いですし、付添人が少年の更生のためにご家族と一緒に悩み考えアドバイスをしたり、あるいは少年自身との面会を繰り返す中で反省を促したり、 今後の生活のことを一緒に考えたりすることで、少年の更生や家庭環境の改善につながることもあります。
少年が学校に通っている場合には、退学などの処分を回避したり、審判の結果が出るまで処分を留保したりするように、学校側に要請する活動が出来る場合もあります。

また、調査官に対して調査官が把握しきれない情報を提供し、意見交換をしたり、裁判所に意見書を提出したりすることで、処分を軽くするべきという主張をすることができますし、 審判当日には、多くの少年は緊張し、付添人との面会時には話すことができたことが裁判官には話せなくなってしまうものですが、こういった場合に少年がきちんと考えたことを裁判官に伝えられるような質問をするということも付添人であるからこそできることです。

このようなことから、一般論としては、少年が鑑別所に入所する措置をとられている場合、そうではない場合(在宅の場合)にかかわらず、付添人がいる利益は大きく、付添人を依頼することが望ましいといえます。

国選付添人という制度はないのでしょうか。

これまでは、国選付添人という制度自体はあったものの、国選弁護人と比べると認められるための条件が厳しく、ほとんどの場合に国選付添人を依頼することはできませんでした。

しかし、少年事件においても、成人の刑事事件と同様、弁護人による弁護活動の必要性が大きいことから、平成26年4月11日に少年法の一部を改正する法律が可決され、成立しました。
これにより、平成26年6月18日から、国選付添人の対象事件が国選弁護人と同じ範囲に拡大されました。

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